落 網 漁 業 BACK 参照「金田禎之著 日本漁具・漁法図説」
「落網漁業」とは、落網を使用して行う定置網漁業をいう。
「落網」とは、垣網、登網、及び箱網の3部からなるものと、さらに囲網を加えた4部からなるものを総称
して落網という。
前者は垣網で誘導した魚群をただちに登網を通して箱網に落し入れ、後者は、いったん囲網(運動場)
に集め、しかる後に運動場の片側または両側に装置した登網を登らせて箱網に落し入れるものであって
登網と称する漏斗状の通路を持つことが落網の大きな特徴である。
現在の定置網の多くは落網であるが、さらに種々の改良が行われ、一度入網した魚類の逸散を防ぐ
ために二重落網にしたものや、資材の節約、労力の軽減及び安全性の確保を図るために、天井網を付
した中層又は底層に敷設するものが考案されている。さらには新しい揚網機械や魚群探知機などの導
入によって労力の軽減と作業効率の向上が図られている。
(1)サケ定置網漁業
サケは全道一帯にわたって8月から10月にかけて接岸し、川をのぼり産卵する。この接岸したサケを
採捕するもので、水深は9〜15mである。北海道に限り、身網の設置される場所の水深が27m以浅で
あっても定置漁業権の対象となり、その免許を受けなければ営めない。東北各県の、サケ定置の構造
は、だいたい北海道と同じであるが、制度上は身網の水深27m以浅のものは第2種共同漁業として共
同漁業権か、あるいは知事許可漁業の対象となるが定置漁業権の対象とならないのが北海道の場合
と異なる。
漁具の構造 網の主体は、胴網と垣網とに分けられる。胴網はさらに運動場、登り、たまりの3部分
からなる。垣網と胴網の接続部が網口となる。この網口は両口及び片口の両方がある。
漁 法 まず網の建て込みであるが、かもい入れ(普通型入れと言っている)をする。
身網の深さを考慮し沖出しを定め(身網の定位置)、下の立場かもいを入れ、これから
身網の長さの繰越網をとり、魚取立場のかもいを入れる。