法則化アンバランス 野崎 史雄
「心」についての授業 <参考>国立小児病院長小林登氏の話より
(5年 理科1時間)
5年理科で、「動物と人のたんじょう」の単元がある。
動物や人の体のしくみを学習するわけであるが、子どもたちには「心の大切さ」についても考えてもらおうと以下のような授業をした。
まず、黒板に「心」と書く。
<発問1> 「心」という漢字は、何がもとになってできたのでしょう。 |
「心臓」「思い」という答えが出された。
<説明1> 正解は、「心臓」です。心臓の形がもとになっています。 |
<発問2> 「心」は、どこにあると思いますか。 |
前の質問と同じようにとらえて、「心臓」と答えた子が圧倒的多数。一人だけが「脳」と答えた。
<説明2> 答えは、「脳」です。(「ええー!?」という声が上がる。) つまり、脳でいろいろなことを考えて、それが心臓に伝わったり、行動に移っ たりするのです。(「なるほど」とうなずいた子が多かった。) |
この後、黒板に図をかいて、脳の神経細胞について説明した。人間の脳の中には、
120〜130億もの神経細胞が集まっている。細胞どうしは、突起でつながれ網の
目の構造になっているのだ。
<発問3> 人間の心の状態は、何から(何を見れば)わかりますか。 |
次のような意見が出た。
・顔 ・しわ ・涙 ・表情 ・目 ・態度 ・行動 ・口
・性格 ・言葉 ・まゆ毛 ・考え ・文字
<発問4> みんな正解です。確かにどれからも人間の心の状態がわかります。 ところで、この中で、学習しないとわからないものはどれですか。 |
「言葉」「考え」「文字」であることを確認した。
人間の心の状態を表すことには、無意識のうちに自然にやっていることと、学習し
ないとできないことがある。
学校では、「心」の学習もしているのだ。
<発問5> 「心」は、生まれる前の赤ちゃんにもあるでしょうか。 |
子どもたちの答えは、
・ある(18名) ・ない(5名) <23名中>
という結果となった。
私は、おなかの中にいる赤ちゃんが指をくわえている写真を出した。
<説明3> 答えは、「ある」です。この写真を見てください。 赤ちゃんが指をしゃぶっているのは、「さびしい」からなのです。 また、お母さんがおなかの中にいる赤ちゃんに音楽を聴かせたり、話しかけた りすることがあります。こうすると、赤ちゃんによい影響を与えるのです。「胎 教」といいます。もし、心がなければ、意味のないことですね。 |
<発問6> 赤ちゃんが生まれる時に、「オギャー!!」と泣くでしょう。どうしてだかわ かりますか。 |
子どもたちは、「元気だから」「まわりの様子がちがうから」「ストレス解消」
「さびしいから」「こわかったから」「いたかったから」「生きていたから」「へそ
の緒を切られたから」「乳を飲みたいから」と、実に様々な意見を出してくれた。
<説明4> 答えは、「お母さんの心臓の音が聞こえなくなるから」です。赤ちゃんは、お 母さんの心臓の音が聞こえなくて、不安になって泣くのです。その証拠に、泣い ている赤ちゃんの耳を胸に当てるように抱いてあやすと泣きやむでしょう。赤ち ゃんは、お母さんの心臓の音を聞いて、安心するのです。 |
子どもたちの答えの中で、「へその緒を切られたから」というのは、一理ある。そ
れまでお母さんのおなかの中で、へその緒を通して栄養や酸素をもらっていた赤ちゃ
んが呼吸を始めるからだ。
ついでに付け加えると、おなかの中にいる赤ちゃんが聞くお母さんの心臓の音は、
テレビの雑音に似ているそうだ。以前、何かのテレビ番組で見た覚えがある。
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