うたわれるもの考察

 

2002年4/26に発売された「うたわれるもの」は、ゲームとしての楽しみの他に

複雑に構築された世界設定や人物設定について考える事も

楽しみであり、魅力となっている。

しかし、1回のゲームプレイではそれらを全て理解するのは困難であり

残念ながら、ゲーム本編では語られない謎も存在する。

ここではそれらを予測も含めてまとめてみようと思う。

もちろん激しくネタバレなので、「うたわれるもの」を最後までプレイしていない者が

見る事は絶対におすすめできない。

もし貴方が「うたわれるもの」を未プレイ、もしくはプレイ中なら

まず「うたわれるもの」を最後までプレイしよう。

普通にプレイした場合、約20時間程度で終えることができるだろう。

 

――――――――――――――――――――

 

うたわれるもの掲示板

 

試験的に設置したネタバレ掲示板です。

一緒にいろいろ考察してみましょう。

「うたわれるもの」以外の話題は書き込まないようにお願いします。

 

――――――――――――――――――――

 

世界設定

 

「うたわれるもの」の世界は未来の日本である。

他の大陸は消滅しているか、人が住んでいないかのどちらかであり、

その原因は、ハクオロとディー(空蝉と分身の事。これに関しては後ほど)が組み合い、

大封印される直前の回想シーンで語られる。

「大いなる父」が「大神」により、赤いゲル状生物にされた際に

他国の研究所(?)がアマテラス照射にて日本の研究所(?)を消滅させようとしたが

その時、まだゲル化していない「大いなる父」の一人が他国に対して「殺してやる」と思い

その願いを「大神」が聞き入れて実行した。

結果、日本以外の研究所(?)からの反応は無くなり、アマテラスも無効化された。

 

アマテラスに関しては詳しい説明がされなかったが

恐らく衛星軌道上に存在する対地巨大レーザー照射システムであろうと思われる。

その威力は絶大で、ゲーム本編ではシャクコポルの皇都およびその周辺を

一瞬にして消滅させている。

 

――――――――――――――――――――

 

時間軸

 

「うたわれるもの」で語られている時代でもっとも古いのは「現代」である。

そして「アイスマン」が解凍された時代、

ゲーム本編の時代、と大きく分けて三つの時代について語られている。

 

――――――――――――――――――――

 

まずは、現代について解説しよう。

現代は、考古学者(名前は不明)がアイスマンになる原因が語られている。

考古学者が大神の化石(?)の前で「男」のピストルで腹を撃たれた際に

その血液が大神の「仮面」に付着した事で大神は目覚めた。

 

「男」は考古学者の抵抗により返り討ちに遭うが、考古学者も瀕死である。

その時、目覚めた大神は、考古学者に対して

「汝ガ身体ヲ代償」として望みをかなえようと言う。

 

考古学者の望みは、その時の苦痛の為に「もう‥眠らせて‥」であった。

その望みはかなえられ、考古学者は「アイスマン」となったが

身体は「大神」のものとなってしまったのだ。

また、後のアイスマンが解凍された時代に大神が二つに分かれ始める原因が

考古学者の人格にあるような気がするのだが、詳しい事は不明。

 

余談ではあるが、ゲーム本編ではカミュの中の他の人格が目覚めた時に

血を欲する理由は語られなかったが

血液が仮面に付着した事で大神が目覚めた事と多少の関係があると思われる。

また、ムツミが語った事によると、カミュはいくつもの人格のうちの

ひとつにしかすぎないらしいので、

必ずしも血を欲する人格がムツミである、というわけではなさそうだ。

 

――――――――――――――――――――

 

次は、アイスマンが解凍された時代だ。

基本的な人格は考古学者のものらしい。

 

人(つまり大いなる父)は免疫力が無くなり、地下の無菌研究室で過ごし

「マルタ」と呼ばれる亜人間を実験作成している。

後のゲーム本編に登場する人はすべてこの「マルタ」の子孫である。

これらは全てアイスマンを素体にして作成されたので

アルルゥをはじめ、他の者の多くがハクオロに魅力を感じるのは当然かもしれない。

 

ミコトとアイスマンの間に産まれた赤ちゃんが、

エルルゥ、アルルゥの祖先である事は「マスターキー」のエピソードで理解できる。

ミコト自身は不幸な最後を遂げたが、両親の望み通り

この赤ちゃんはそれなりに幸せな人生を過ごしたと思われる。

そうでなければ、エルルゥの代までマスターキーが失われる事無く

受け継がれはしなかっただろう。

 

ムツミはミコトの事が気に入らなかったようだ。

ムツミはアイスマンに最も近い存在でありながら、アイスマンはミコトを選んだ。

この事は、ゲーム本編でもムツミは「また私を選んではくれなかった」と

語っている事からもなんとなく理解できる。

しかし、ゲーム本編の最後でハクオロから

「もう二度と忘れはしない」と言われたので、ムツミも満足したのではないだろうか。

 

先に触れた、ミコトの不幸な最後により

アイスマンの中の大神が覚醒し、暴走する。

だが、暴走する大神の中に「我ヲ止メヨ、デキヌナラ我ヲ滅セヨ!」という別の思いが生じ

この思いが「空蝉」となるようだ。

また、この時を境に大神は二つに分かれ始めているが

それは急速なものではなく、徐々に独立したものとして形成されていく。

 

暴走した大神を封じたのはムツミであるが、

それはムツミの望むところではなかった。

「もうあんな思いはしたくない」の言葉通りである。

しかし暴走する大神を止める事はムツミには不可能であり、

「それがお父さまの望みなら」と、滅する為にアマテラスを照射するが

大神を滅する事はかなわず、封印するにとどまった。

封印するために使用した力は不明であるが、それはムツミの子孫へ伝承される事になる。

オンカミヤリュー族である。

 

この大神の暴走により、ゲーム本編となる世界が構築される事になる。

「大いなる父」は赤いゲル状生物となり、

廃棄処分されるはずだったが地上へ逃げた「マルタ」たちは

自分たちの世界を作り上げていった。

 

ちなみにマルタの中には廃棄処分予定に含まれず、

大いなる父に可愛がられた系統の種族があった。

それがシャクコポル族である。

また、マルタの解放から大神の暴走までの期間は数年はあると思われ、

その間シャクコポル族は大いなる父のもとに居た事になる。

シャクコポル族が穴人として蔑まれた理由は

ウサギに近いだけ(ウサギはウサギ穴をつくって住んでいる)ではないようだ。

 

――――――――――――――――――――

 

ゲーム本編の時代については、

多くの謎があるのでそれぞれ別個に考察してみよう。

 

――――――――――――――――――――

 

ハクオロとは何者か。

ウィツァルネミテア(大神)の分かれた一方、つまり「空蝉」である。

考古学者の身体と人格を持っているが、

封印から目覚めた時に「分身」と争った為に負った傷が原因で記憶を失っている。

記憶があれば自在に大神の力を使用できるようだが

記憶が無い為に、ゲーム序〜中盤では大神の力は全く発動しない。

 

だが、二ウェとの戦いで、己の身に危険が迫った時に

ゲーム中で初めて大神の力に目覚める。

これ以降、ハクオロにとって大切なものを失いそうになった時に

大神の力が発動するようになったと考えられる。

 

つまり、トゥスクルや村人の死で大神の力が目覚めなかったのは、

ハクオロにとって、自分自身の死と比べれば

大神の力に目覚めるきっかけとしては不十分だったのだろう。

 

また、エルルゥが側にいたことも原因のひとつに考えられる。

なぜなら、後にハクオロはゲーム中で

「エルルゥが側にいてくれれば、、、この温もりがあれば、、、

人として生きてゆける、、、そんな気がする、、、」と語っている。

二ウェと対決した時、エルルゥはハクオロの側にはいなかった。

 

話しが前後するが、アイスマンが解凍された時代に

考古学者の中の大神が覚醒し、暴走する結果になったのも

ミコトを失い、人として生きてゆく支えが無くなった為だろう。

 

ゲームの最後、大封印が完成した時、ハクオロの仮面が外れる。

これは、ハクオロがただの人(つまり考古学者)に戻った事を意味していると思われる。

分身が語った「共に封印される事は弐が壱に戻る事」は

何を意味するのかは不明だが

空蝉と分身は互いに相手を滅する事を望んでいたのだから、すなわち、、、。

 

ちなみにアイスマンが解凍された時代にムツミによって封印された時は

あくまで二つに分かれ始めた時であり

その後封印の力が弱まり、眠りと覚醒を繰り返すようになった時は

二つに分かれた後ではあるものの、同時に眠りにつく事は無かったのだから

あながち間違いではないのかも知れない。

 

また、エンディングに関しては

エルルゥの行動(後述)が大封印に何らかの影響を与えたと考える事ができる。

 

――――――――――――――――――――

 

エルルゥとは何者か。

ミコトの生まれかわりであり

瀕死のアルルゥを救う為に空蝉と「契約」を行ない傀儡となった者である。

また、アイスマンとミコトの直系の一族でもある。

 

ハクオロが人でないこと、ハクオロが契約を行なった相手である事は

最初から知っていたが、

ハクオロが大神の空蝉(少なくとも大神の力が発動した姿)であることに

気がついたのはクンネカムンによるトゥスクル侵攻以降だと思われる。

 

傀儡となっていても、エルルゥの基本的な人格が失われるわけではなく

自らの意思もあってハクオロと行動を共にしてきたようだ。

だが、所詮は傀儡という立場上

ハクオロに恋愛感情を抱いても、それを口にすることは出来なかった。

 

分かりづらいが、実は最後に大神を封じる大封印が完成する瞬間に

大封印に飛び込むという無謀な事をしている。

結果的に、大神と一緒に封印される事はなかったが

これが大封印に何らかの影響を与えたのは間違い無い。

この行動がエンディングへの伏線であると考えられるが、詳しい事は不明である。

 

――――――――――――――――――――

 

アルルゥとは何者か。

エルルゥが代償となって、大神に命を保護された者である。

空蝉と分身が争った際に生じた地震と

クンネカムンによるトゥスクル侵攻時に瀕死となり、命を落としかけるが

空蝉の力によって助けられている。

「森の母」であり、ムックルとガチャタラを従えているが

これは空蝉の力とは無縁のようであり、アルルゥ本来の能力のようだ。

 

――――――――――――――――――――

 

仮面とは、大神とは何か。

実は仮面に関しては、人の体力や知力を向上させる以外については

ゲーム中であまり語られなかった。

そもそも仮面は現代を遡ること数百万年前から存在していた事になっているので

そのような人知を超えた存在にあまり詳細な設定は

作られなかったのかも知れない。

 

ただ分かっているのは、大神は「我ハ始マリ也」の言葉通り

世界の始め(何をもって始まりとするかは不明だが)から存在していた事であり

おそらく仮面も共に存在した、程度か。

 

大神は二つに分かれたが、仮面はひとつであり、人としての身体もひとつである。

そして考古学者の身体および仮面は空蝉のものである。

その為、分身は目覚めた後に憑代を必要とした。

(ただし、大神としての身体は互いに持っているようだ)

ゲーム本編の時代に分身はウルトの師であるディーを憑代とし

影から糸を引いて歴史を動かした。

 

つまり、アルルゥが瀕死となった地震の原因の

空蝉と分身の争いは大神としての身体を使用したのだろう。

もしくは精神体のようなものだったのかも知れないが、詳細は不明である。

 

大神の詳しい能力は不明であるが

「ウィツァルネミテアの契約」(後述)を結ぶ事により、人に恩恵を与え、代償をもらう。

大神は二面性を持つものとされているが

それは空蝉と分身にわかれているからではなく、

上記の契約によるものが原因であろうと思われる。

分身が語ったように、空蝉と分身は結果的にほとんど同じような事を

してきたのは否定できない事実だからだ。

大神の目的は、空蝉も分身も共に、人の進化である。

 

本来、分身と空蝉は直接争うものではない。

その為に分身はシャクコポル族を契約(後述)によって眷属として

空蝉と戦っている。

しかし空蝉は記憶を失っていた為に先頭に立って戦った。

それが空蝉を大神より人に近いものとし、

皆の為に分身と共に封印されるのを望んだ事に繋がっているような気がする。

 

――――――――――――――――――――

 

「ウィツァルネミテアの契約」は、ゲーム中にたびたび出てくる言葉だ。

ハクオロとカルラの契約もウィツァルネミテアの契約であるが

これ以外のものは大神、

つまりウィツァルネミテアと直接契約しており、物語に多くの影響を与えている。

 

厳密に言えば、ハクオロとカルラの契約も大神とのものだが

これはハクオロの人格でのものなので意味合いが違う。

 

契約に関する事は、他言できない為、様々な謎がある。

以下はそれらの契約の箇条書きである。

 

・大神と考古学者の契約

・ゲンジマルと分身の契約

・クンネカムン前皇と分身の契約

・エルルゥと空蝉の契約

・オンカミヤリュー族と「?」の契約

 

既に解説済みのものもあるので、まだ触れていないものについて述べよう。

 

ゲンジマルはディーの一代前の分身と契約し、仮面の力かどうかは不明だが

超人的な力を手に入れた。

その代償として、ゲンジマルはディーの一代前の分身の傀儡となった。

ディーの一代前の分身からシャクコポル族を監視するよう言い渡されるが、

ゲンジマルは情に流されてクンネカムン皇に仕える身となる。

 

クンネカムン前皇はディーの一代前の分身と契約し、アヴゥ・カムゥを手に入れた。

その代償として、シャクコポル族はディーの一代前の分身の眷属となった。

その後ディーの一代前の分身は眠りにつく事になるが、次に目覚める時まで

シャクコポル族を監視する役目をゲンジマルに命ずる。

この契約は、ゲーム本編においてゲンジマルの切なる願いによって

その命を代償として破棄された。

 

最大の謎は、オンカミヤリュー族が誰と、どんな契約をしたかである。

ムーべはハクオロを初めて見た時に

空蝉であることを即座に看破しており、その事を後にウルトにも

告げた様子であり

契約の相手は空蝉であろうと思われるのだが、、、。

 

あくまで推測だが、

オンカミヤリュー族は、以前目覚めた空蝉の眷属となる代償に「何らか」の契約をし、

以前の空蝉から各国の和平を取り持つよう命じられたのではなかろうか。

上記の推測は間違っていたようだ。

最後の戦いが終わった後、ハクオロはウルトに上記と同様の事を話している。

既に契約済みの事を重複するとは考えられない。

 

また、契約の相手は空蝉か分身かで迷っていた事が考えを狭めていた。

以下に、それを含めて新たな要素を考察しよう。

 

――――――――――――――――――――

 

ムツミとは何者か。

大いなる父によって作られたアイスマンのレプリカである。

卓越した能力を持っているものの、ムツミ自身が語っている通り

その能力は大神には遠く及ばない。

とはいえアマテラスに強制介入したり、大神を封印したり出来るのだから

凄まじいものがあるが、、、。

 

既にムツミについてはいくつかの点で考察済みなので

それらをはぶいて考察しよう。

 

ムツミは脳髄だけの存在にされたが、マルタ解放時に

アイスマンが逃走(もっとも、逃走せずとも凍結予定だったのだが)した後

復元、研究された。

 

しかし、ムツミはカミュを「憑代」と呼んでいる。

これを大神の分身と併せて考えるなら、ムツミの身体は大神のそれと

同様の存在であると思われ、人の身体とは違うようだ。

 

つまり、、、。

 

ムツミとオンカミヤリュー最初の人が契約をしたのではないだろうか。

 

ムツミは、オンカミヤリュー最初の人に自らの力を与え、

その代償にオンカミヤリュー族から憑代としての身体を貰える事にした。

大神の空蝉は仮面の力でゲーム本編の時代まで人の身体を

維持することが可能であったが、

ムツミのそれは大神の分身のものと同様に

時が経つごとに新しい憑代を必要としたため、このような処置を行なった。

 

――――――――――――――――――――

 

現在分かっている事はこの程度である。

今後も何か情報が得られ次第、修正と追加を行なっていこうと考えている。